北京生活情報

2006年12月16日

『空気の研究』

山本七平 1983年 文春文庫



山本七平は四つの顔を持つ。



@日本社会、日本人論研究者

A日本陸軍研究者

B聖書研究者

C山本書店店主



山本七平の著書が高い評価を受けるのは、この多様な世界が高度に統合された作品を生み出しているからであろう。僕はこの作品が山本氏の作品に触れた初めてだけど、

「日本人とユダヤ人」などの名著も読んでみたい。



さて、「空気の研究」だが、これは「空気」「水」を題材として、「日本的ファンダメンタリズム」を解き明かそうとする本である。

「空気」とは「うちの会社は上司に反論することが出来ない空気である」というときの「空気」であり、「水」とは「せっかく上手く会議が進んでいたのに、流れに水を差した」という時の「水」である。

この「空気」と「水」から日本社会を論じる。戦争、共産党、丸紅、公害問題などを題材に、

「空気」に支配され、失敗してきた日本社会を、まずは「空気とは何か」というところから克服しようとする試みである。



言いたいことは何となく把握できたが、昨日の忘年会のダメージか、今日は一日何も出来なかったので、読書も半分寝ていた。

いつか再読するか、誰かに教えてもらおうと思う。



京大が近くにあったら、スウェール先生に聞きに行くんだけどなあ…残念。
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2006年10月05日

海辺のカフカ

人間にとって本当に大事なのは、本当に重みを持つのは、きっと死に方のほう

なんだろうな。死に方に比べたら、生き方なんて大したことじゃないのかもしれない。

とはいえやはり、人の死に方を決めるのは人の生き方であるはずだ。





村上春樹は、相当教養がある人のようだ。物語の中に、日本の歴史的文学、海外の文学、音楽、哲学、神学などが散りばめられている。

意味の取りにくいところも多いが、その分考えさせられること、そして綺麗な表現が散りばめられていて、面白かった。



小説にはまるということはあまりないが、僕にとっては読みやすく、久々にはまった小説だった。



五日間ほど、この小説を読んでばかりいたせいで、来週の試験が危うくなってきているが、

もうすぐ楽しい三連休。明日は金曜。がんばる。
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2006年09月30日

読書録9月

最近あまり書いてなかった。実はちょこちょこ本は読んでいるのだが、レビューとかする暇がない。



最近読んだ本

「野火」大岡昇平 新潮文庫 1954

何とも言えない。悠々と生活を送る現代人としては、全く違う世界―殺し、殺され、飢え、乾き―そんな世界で、主人公の「思考」を軸に、書き進められていく。

人間の尊厳とは何か…そんなことを書いているが、正直、僕にはつかめなかった。

それだけ、この現実が緩やかで、甘いものなんだろう。

戦争中に気が触れそうになったと言っていたおじいちゃんなら、少しは分かるのかな。





「愛国者は信用できるか」鈴木邦男 講談社現代新書 2006

「愛国心」は小声でそっと言うべき言葉…右翼活動をやってきた筆者の至った結論。

非常に読みやすく書かれている。三島由紀夫の話などが多い。

が、正直なところ、感情的なモノローグを綴っただけ、という気もする。

「愛国心とは何か」という問いは、「愛」「国」「心」とはそれぞれ何か、という問いをクリアした上でしか意味がないと思っているが、人々はこの辺どう思っているのだろう。





「奪われる日本」関岡英之 講談社現代新書 2006

「拒否できない日本」の続編のような作品。「年次改革要望書」が、日本の経済システムを米国の都合の良いように変えてきた、ということを、郵政民営化、司法制度改革、会社法、独禁法などのテーマ毎に論じる。

一読に値するとは思うが、肝心の年次改革要望書を、僕はまだ読んだことがない。

そして、郵政民営化も会社法のことも、僕はしっかりと理解していない。

竹中平蔵氏は、郵政民営化と年次改革要望書の要求とは全く違うと言い切っている。

また、最近米国が特許法において先発明主義を捨て、先願主義を採用した、という事実もある。



自分の頭で、考えないといけないなと思う。





「論争 格差社会」文春新書 2006

「諸君」から「世界」まで、様々な立場の論者の意見を集めた、「格差論議」のための本。

面白かった。

でも、僕は生きているのが楽しくてしょうがないから、目指すべき未来がはっきりと見えているから、不安などはどこにもないし、格差があると言われてもピンとこない。

「それは君が恵まれた位置にいるからだ」と批判されようとも、生まれた位置や育った位置など、選べるわけがないし、僕は僕なりに考えた結果のことを、最大限の努力で行っているだけだ。

「自分の頭で考え、決断し、努力する」これが、人生を全うするための処方箋であると思う。



「風の歌を聴け」村上春樹 講談社文庫 2004

「アフターダーク」同上

村上春樹にはまり始めた。この人の物語、キャラ、どちらも酷く凡庸な気がするのだが、何故か読み進めてしまう圧倒的な「文章力」…何か感動を得たり、知識を得たり、共感や反発を得るのではなく、ただ精神を離脱させるようなトリップ感が残る。それが幸せというわけではない点において、ドラッグとは少し違うが、こういう感じが好きな人にとっては、はまるのも当然だろう。

ただ、何故村上春樹が世界中で売れるのかは、イマイチ分からない。

あと何冊か読んでみて、もう少し深い評価が出来るようになろう。



「もふ」1〜5巻 小学館

これは漫画。財務省キャリア一年生の活躍を描く官僚の漫画だが、なかなか勉強になる。

BSEの危険性という農林水産省絡みの話、対中ODAが何故減らせないかという外務省絡みの話、

いずれも新しく知ったことが沢山。

靖国神社に来ていた、日中戦争で父を亡くしたタクシーの運転手さんが、「中国人はお嫌いですか?」という中国人留学生からの質問に、「困ったことに私の知ってる中国人は良い人ばかりなんだよねえ…」「ま、出会った人が全てじゃないんですか?」と答える所は、漫画だからこそか、よく分からないけど、心を揺さぶられた。

官僚を目指す人だけでなく、政治家やマスコミ、民間企業を目指す人に対してもおススメの漫画である。
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2006年07月30日

『14歳からの哲学』

池田晶子 トランスビュー社 2003



急に池田晶子氏が読みたくなって、三冊購入、そのうちの一冊。

けっこう話題になった本なので、知っている方も多いかとは思うが、

内容としては、「ソクラテス」シリーズと同じであり、平易な言い方に治されているものの、ソクラテスを媒介とした語り口の方がやはり面白いと思った。



それはさておき、内容としては、やはり改めて考えることが多い。

すなわち、生きるとは何か、人を殺すとは何か、家族、社会、進歩、理想、宇宙、そして究極的にはここにある「私」と「貴方」、「ある」と「ない」、「生」と「死」の当たり前と不可思議さ。



久しぶりに読んだことで、普段の自分の言動、考え方が如何に池田氏の影響を強く受けているかということを認識する。それは哲学なんて大それた言葉を使わずとも、自分の考える「真理」である。

「自分の人生を生きろ」とか、

「より良く生きろ」とか、

「自由に生きろ」とか、

あるいは

「私は〜〜と思う」とか

「世界は今〜〜である」とか、



そんな言い回しの不思議さ。その不思議さに気づけない滑稽さ。

そしてそこにある「言葉」と「自分」というどうしようもない「存在」。



14歳からというタイトルは相応しくない、この本は言葉を持つ者であれば読めるし、

読めない人間は一生かかっても読めないだろう。



「本物を見抜ける目を持とう。本物を見抜ける人間になろう。そのためには、いいかい、キミが本物の人間にならなくちゃダメなんだ。本物を見抜けるのは本物だけなんだ。個々には動かせない対応があるんだ。

人の真似をする。逆に、人の真似はしなくても、あえて人と違おうとする、それは偽物だと言った。どうしてそうなるかというと、本当にしたいこと、どうしてもそうしたいことが、その人にはないか、あるいはわかっていないからだ。けれども、本物はそうじゃない。人が何と言おうが、誰にどう見られようが、彼はそれがしたい。彼はそうするしかできないんだ。それをするのでなければ、彼にはもう生きてる理由なんかない。その意味で、彼はそれをすることに命と人生のすべてを賭けているんだ。」








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